整形外科を中心とした医療と機能回復

高次脳機能センター

社会的行動障害とは

社会的行動障害は、さまざまな原因で起こるとされています。

●脳機能の損傷のために、自分で自分の行動を十分に制御できなくなる場合
●注意障害、記憶障害、遂行機能障害などのために、状況をうまく判断できず結果的に不適切な言動となる場合
●失敗経験を積むことで自信を喪失し、心理的な負担が増えた結果、怒りや抑うつ的な症状が出現する場合

などがあります。また、

●情報処理がうまくいかず不適切な言動をしてしまう → その結果パニックになり追い詰められて精神的な負担が増え、問題行動が増える → 失敗が続いて自信を喪失し、抑うつ的になってしまうといった悪循環を抱えている場合もあります。

社会的行動障害の主な症状には以下のようなものがあります。

  • (1)依存性・退行

    子どもっぽくなったり、すぐに家族を頼るようになるというような症状を指します。

  • (2)感情コントロール低下

    「怒り」や「笑い」の感情のコントロールが難しいことです。
    怒りの爆発は対人関係において大きな障害となりますが、注意を受けている時や悲しい場面での笑いも、対人関係を気まずくしてしまうことがあります。

  • (3)欲求コントロール低下

    欲求のコントロールが低下すると、欲しいと思うと我慢できなくなります。 お菓子は1袋全部食べてしまったり、タバコやコーヒーなどを1日何本も消費する、お金も手元にあるだけ使ってしまうというように自制ができなくなります。

  • (4)対人技能拙劣

    新しい人間関係を築くことが下手だったり、せっかくできかけた人間関係を壊してしまったりすることがあります。
    人間関係を継続するためには、相手の気持ちや状況を思いやることや相手とうまくコミュニケーションをとっていくことが必要となります。
    これらの問題には、以下の2点からの理解が必要です。

    A. 共感性の低下

    相手の気持ちを推測することが難しくなることがあります。
    冗談や嫌味、比喩を理解できず、相手の言うことの真意や隠れた本音が理解できず勘違いして相手に怒ってしまい、結果的に相手を傷つけてしまいます。

    B. コミュニケーション障害

    話にまとまりがなく、すぐに脱線してする、その場に不適切な多弁であったり、雰囲気にそぐわない会話をする、テンポの速い話が理解できない、といった症状が見られることがあります。

  • (5)固執性

    どうでもいいささいなことにこだわるようなことを言います。
    やり始めるとやめられなかったり、一度決めたことを状況に合わせて変更できずにやり続けたり、同じことを何度も言ったり、やったりするような場合です。

  • (6)意欲・発動性の低下

    ボーっとして自分から何かしようと行動を起こさず、促されないとやっていたこともやめてしまうことがあります。

  • (7)反社会的行動

    社会的な倫理を逸脱するような行動を反社会的行動といいます。
    代表的なものに「盗み」「セクハラ」があげられます。
    これらは社会的に許されない行動ですから、周囲が一致した断固とした態度で望むという心構えが必要です。

高次脳機能障害への日ごろの対応方法については、
『高次脳機能障害とともに ― ご家族の方へ』(PDF資料 39.2MB)
をご参照ください。