注意障害とは
注意障害は、注意能力のどの側面に障害があるかによってその症状が異なってきます。
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(1)覚醒の障害
覚醒とは、意識レベルの清明さのことをいいます。
A. 持続的覚醒の障害
何かをやっている途中にあくびをしたり眠ったりしてしまう、問いかけに対してゆっくりとした応答がある、あるいは応答がない、ボーっとしているなどの問題があります。 また、あるときは応答が速いのに別の時には遅いというように、応答に一貫性が乏しい場合もあります。
B. 瞬時的覚醒の障害
ある特定の状況に対して応答するように求められてもすばやく応答できない(たとえば、目の前に飛んできたボールをキャッチするなど)、腕をたたくあるいは名前を呼ぶなどの手がかりに対してすぐに応答できないなどの問題があります。 -
(2)集中的注意の障害
集中的注意とは、ほかの対象を無視しながら特定の対象に注意を集中させる能力です。
集中的注意に問題がある人は気が散りやすく、今現在行っていることとは無関係なことを無視することが難しくなります。
日常生活においては、たとえば家の中で誰かと誰かが会話を始めるとそれまで読んでいた新聞が読めなくなる、会話の途中に通り過ぎた人が気になって話が中断してしまうなどの問題が生じます。 -
(3)分割的注意の障害
分割的注意とは、同時に二つ以上の事柄に注意を払い、それらの事柄への注意を適切に切り替える能力です。分割的注意に問題がある人は、二つ以上の事柄を同時進行することが難しくなります。
日常生活においては、講義を聞きながらノートをとったり、何種類かの料理を同時に作ったりすることに困難を示します。
分割的注意に問題のある人は、集中的注意には問題を示さないことが多くあります。
つまり、騒がしい場所でひとつの作業をすることには問題がないけれども、複数の作業を課されるととたんにすべての作業が滞ってしまいます。
高次脳機能障害への日ごろの対応方法については、
『高次脳機能障害とともに ― ご家族の方へ』(PDF資料 39.2MB)
をご参照ください。